利尿薬と同様に,血管拡張薬も急性心原性肺水腫に有効である.一般的には,血管拡張薬が第一選択であるが,慢性心不全の急性増悪のように体液
貯留によるうっ血が著明の場合には利尿薬主体の治療を行う.一方,血圧高値,心筋虚血を合併する患者,僧帽弁逆流症がある患者などは血管拡張薬
が望ましい場合がある.収縮期血圧90 mmHg未満の心原性ショック患者に対する血管拡張薬の使用は控えるべきである.また,過度の血圧低下は腎機
能悪化を招くことがあるため,用量に注意し,投与後の経過観察も重要である.とくに,腎機能障害例や高齢者,大動脈弁狭窄合併例では血圧の低下に
注意を要する.
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)