カルペリチド(遺伝子組み換えhANP)は血管拡張作用,ナトリウム利尿効果,レニンやアルドステロン合成抑制作用などにより減負荷効果を発現し,
肺うっ血患者への適応とともに,難治性心不全に対してカテコラミンなどの強心薬と併用される.急性心不全におけるカルペリチドの投与については,
他の血管拡張薬と同様に予後改善効果は確立されておらず,今後有効な患者の選択が重要であると考えられる.
カルペリチド投与初期に血圧の低下を生じることがあるので,投与開始の際には低用量(0.025~0.05 μg/kg/分[場合により0.0125 μg/kg/分])から持
続静脈内投与する.わが国の前向き調査では,0.05~0.1 μg/kg/分の投与量で使用されていることが多く(最大0.2 μg/kg/分まで使用可能),有効性は
82%と報告されている472).とくに心筋症,高血圧性心疾患,弁膜症などによる非代償性心不全患者では有効性が高い.これに対して重篤な低血圧,
心原性ショック,急性右室梗塞患者,脱水症では禁忌である.
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)