推奨
クラス
エビデンス
レベル
Minds
推奨
グレード
Minds
エビデンス
分類
高血圧
減塩や減量も含めた高血圧
治療I A A I
サイアザイド系利尿薬I A A I
冠動脈疾患
冠動脈疾患患者に対する
ACE阻害薬* I A A I
冠動脈疾患患者に対する
スタチンI A A I
左室収縮不全患者に対する
ACE阻害薬I B A II
心筋梗塞患者に対するβ遮
断薬I B A II
心筋梗塞患者に対するMRA I B A II
心筋梗塞発症3日以降28日
までの完全閉塞梗塞責任冠
動脈に対するPCI
Ⅲ B C2 II
肥満・糖尿病
減量や身体活動量の増加な
どによる一般的な生活習慣
の改善
I A A I
心血管病既往のある2型糖
尿病患者に対するSGLT2阻
害薬(エンパグリフロジン**,
カナグリフロジン***)
I A B II
禁煙I C B IVb
節酒Ⅱa C C1 VI
身体活動・運動習慣I B B IVa
その他
多職種による包括的なプロ
グラム(教育など)とチーム
医療
I C C1 VI
ワクチン接種などによる
感染症予防

IV. 心不全予防

 心不全は,食事,運動などの生活習慣の管理に加えて,心不全の危険因子に対する適切な治療,無症候性心不全例に対する投薬など多方面から
の介入により,発症・進行(増悪)・再発を予防できる(表22).ステージA/Bでは心不全の発症予防に重点がおかれ,ステージC/Dでは心不全症状の
改善に加えて,心不全の進行(増悪)・再発予防,生命予後の改善を図ることに重点がおかれるため(図1)22),心不全の予防と治療を明確に区別す
ることは困難である.つまり,前者(ステージA/B)が狭義の心不全予防であり,後者(ステージC/D)も含めたものが広義の心不全予防であることか
ら,両者を含めた心不全予防について記載する.

 また,心不全予防では,心不全患者の病態・病期などに応じて多職種(医師・看護師・薬剤師・栄養士・理学療法士など)が病診連携のもと,継続的
なチーム医療(病院・地域・在宅など)を実践することが重要であるため,XII. 疾患管理 1. プログラム(教育など)とチーム医療の項(p. 104)も参
照されたい.
表22 心不全予防のための危険因子に対する介入の推奨とエビデンスレベル
ACE阻害薬不耐例(とくに左室機能障害例)では,ARBの投与が推
奨される.
**EMPA-REG OUTCOME試験(エンパグリフロジン)225)では,全
例が心血管病既往例であった.
***CANVAS試験(カナグリフロジン)228)では, 全体の34%が心血
管高リスク一次予防例で,66%が心血管病既往例であった.また同
試験では,わが国未承認用量も含まれていた.
心不全リスク(突然死)
器質的心疾患発症
ステージ A
器質的心疾患のないリスクステージ
急性心不全
慢性心不全
時間経過ステージ B
器質的心疾患のあるリスクステージ
ステージ C
心不全ステージ
ステージ D
治療抵抗性
心不全ステージ
心不全症候出現
心不全治療抵抗性
症候性心不全身体機能
高血圧
糖尿病
動脈硬化性疾患 など
虚血性心疾患
左室リモデリング(左室肥大・駆出率低下)
無症候性弁膜症 など
治療目標
・危険因子あり・器質的心疾患なし・心不全症候なし・器質的心疾患あり・心不全症候なし・危険因子のコントロール・器質的心疾患の発症予防・
器質的心疾患の進展予防
・心不全の発症予防・症状コントロール・QOL改善・入院予防・死亡回避
・緩和ケア・再入院予防・終末期ケア・器質的心疾患あり・心不全症候あり(既往も含む)
・治療抵抗性( 難治性・末期)心不全慢性心不全の急性増悪(急性心不全)反復
心不全発症心不全の難治化心不全とそのリスク
心不全の進展イベント
心不全ステージ分類 7)
図1 心不全とそのリスクの進展ステージ
(厚生労働省.2017 22)より改変)
1.高血圧 2.冠動脈疾患 3.肥満・糖尿病 4.喫煙 5.アルコール 6.身体活動・運動 7.その他
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)
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