心不全が終末期に移行した際には,ICD,ペースメーカ,CRTに関して,本人,家族,緩和ケアチームによる十分な話し合いのうえに停止を考慮する571).
補助人工心臓治療関連学会協議会より発表された「我が国における植込型補助人工心臓適応適正化の考え方:Destination Therapy(DT)について」で
は572),植込み手術前に終末期医療について本人,家族らに説明を行い,終末期に至った場合に植込型 LVAD 駆動中止などの延命中止の選択肢がある
ことを伝え,本人の意思を事前指示書として残すように記載されている.DTにおける潜在的課題(デバイス不全,LVAD関連の重篤な合併症, 衰弱した併
存疾患の状態,LVAD後の不十分なQOL)について十分に説明し,患者の人生観や価値観をふまえて,将来起こりうる課題について選択できるように支援
する(preparedness planning)573).2013年日本循環器学会・日本心臓血管外科学会合同の植込型補助人工心臓ガイドライン517),2014年日本救急医療
学会/日本集中治療医学会/日本循環器学会合同ガイドライン574)においても,事前指示・家族意思に基づき多職種で判断し,プロセスを踏んで行うことが示
されている.
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)