弁膜症を合併する心不全患者は高リスク群であり,その治療方針の決定には多面的な検討が必要である.心不全の主たる基礎疾患が弁膜症そのも
のである場合は,弁膜症に対する治療方針に沿った治療を行う.多くの場合は弁置換術/形成術など非薬物治療の適応となる(弁膜疾患の非薬物治
療に関するガイドライン[2012年改訂版]556)を参照).ここで留意すべきことは,弁置換術/形成術後も適切な心不全薬物療法を行う必要があるという
点である.術後もLVEFが低下している場合はLVEFが低下した心不全(HFrEF)の治療方針に沿った薬物治療を行うべきである.
一方,拡張型心筋症など他の基礎心疾患が心不全に至る過程で二次的に発症した弁膜症に対する治療方針は異なる.この場合は基礎心疾患に対す
る基本的治療を行うことが基本であり,これに加えて弁膜症に対する介入をどのように考えるのかを以下に簡単に記載する
表37 心不全を伴う弁膜症の治療に対する推奨とエビデンスレベル
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)