左心不全,肺高血圧などに伴う右室負荷の結果として,三尖弁輪拡大,三尖弁のtetheringにより二次性三尖弁閉鎖不全を認めることは多く,予後悪
化因子となる557).二次性三尖弁閉鎖不全は,左心不全,肺高血圧に対する治療により血行動態が改善すると軽減しうるものであり,まずは心不全の
原因疾患に対する治療が最優先である.左心系の弁膜症に対する手術時であれば,二次性三尖弁閉鎖不全が高度あるいは三尖弁輪拡大を伴う中等
度逆流の場合は三尖弁輪形成術をあわせて行うことが推奨されている556, 560, 561).これ以外のケースで三尖弁閉鎖不全による右心不全症状が強い場
合は,患者ごとに手術介入の適否を判断する.
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)