終末期心不全においては,とくに高齢患者において循環不全の影響を受け,せん妄が起こりやすくなる.認知症,抑うつと鑑別し,早期介入によりせん
妄の重症化を回避することが重要である.認知症や抑うつの場合には症状が比較的安定し動揺が少ないのに対して,典型的なせん妄では症状が変動
し,夜間に増悪する特徴がある.せん妄を誘発・悪化させる可能性のある環境や薬剤(降圧薬,β遮断薬,抗不整脈薬,ドパミン作動薬,交感神経刺激
薬,抗コリン薬,睡眠薬,抗不安薬など)を見直し,安全確保に努め,重症例では精神科にコンサルトのうえ抗精神病薬を考慮する.
4.5せん妄
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)
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