心不全患者における抑うつは,予後を不良にする要因であるとともにQOLの低下と関連する903).薬物治療としては,選択的セロトニン再取り込み阻害
薬(selectiveserotonin reuptake inhibitor; SSRI),セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬,ノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ薬などが
選択されるが,近年β遮断薬とSSRIの同時投与で死亡率上昇の報告がなされており904),心不全患者での最適な抗うつ薬は明らかとされておらず,
また抗うつ薬を使用しても心不全の予後は必ずしも改善しないと報告されている869, 905, 906).三環系抗うつ薬は,QT延長や抗コリン作用など心血管系に
対する副作用が多く,心不全患者への投与には注意が必要である.不安に対してはベンゾジアゼピン系抗不安薬が第一選択となるが,うつ状態が背後
に存在する場合には抗うつ薬の投与も検討される.また,運動療法,多職種チームによる包括プログラムとしての心臓リハビリテーションや専門家による
カウンセリングなどの非薬物療法も有用である907, 908)
4.4抑うつ・不安
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)
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