ニコランジルは,硝酸薬としての静脈系拡張作用にATP感受性カリウム(KATP)チャネル開口作用に起因する動脈系拡張作用を有する治療薬であり,
硝酸薬と同様に肺動脈楔入圧を低下させる.ニコランジルはKATPチャネル開口作用が関与しているので,硝酸薬にくらべて薬剤耐性を生じにくい733,
734).さらに,過度な降圧をきたしにくい735).ただし,心筋梗塞急性期におけるニコランジル投与によって,梗塞サイズならびに心臓死および心不全入院に
ついてプラセボ群と有意差を認めなかった533).
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)