3.2 レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系
心不全ではレニン・アンジオテンシン・アルドステロン(renin-angiotensin-aldosterone; RAA)系が賦活化され,アンジオテンシンIIが過剰に産生される.
軽度の心機能障害でも血漿レニン活性値が上昇している例がある一方で,重症心不全でも上昇していない場合もある.これらのことは,循環RAA系とは
独立に組織RAA系が賦活化しており,心臓のリモデリングに関与していることを示唆している46-48).
一方,心不全において血中のアルドステロン濃度は必ずしも高値を示すわけではなく,それゆえに心不全の重症度の鋭敏なマーカーとはいいがたい面
がある.しかしながら,心不全におけるアルドステロンの分泌や作用に関しては不明な点が数多く残されており,ミネラルコルチコイド受容体の活性化を含
めてアルドステロン/ミネラルコルチコイド受容体カスケードの意義を過少評価してはならない49- 51).高血圧診療ではレニン活性とアルドステロン濃度測定
が強く推奨されており,心不全においてもそれらの測定は心不全の原因ならびに病態の深い理解につながると思われる.
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)