冠動脈疾患患者には,心不全を含めた心血管イベントの発症抑制と生命予後改善のため,ACE阻害薬を投与する155).心筋梗塞後の二次予防におい
ても,心不全の発症予防のためにACE阻害薬156-158),β遮断薬159),スタチン160-162),ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(mineralocorticoid
receptor antagonist; MRA)163- 165)を投与する166).なおARBは,ACE阻害薬に忍容性がない例で,とくに左室機能障害のある例に投与する167, 168).
経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention; PCI)による心不全予防効果に関しては,OAT研究169)において,LVEF 50%未
満の急性心筋梗塞患者に対して発症3日以降28日以内に完全閉塞の梗塞責任血管にPCIを実施しても,その後4年間に心不全を含む心事故防止効果は
認められなかった.
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)