心不全患者における抑うつは,予後を不良にする要因であるとともにQOLの低下と関連する564).薬物治療としては,選択的セロトニン再取り込み阻害薬
(selective serotonin reuptake inhibitor; SSRI),セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬,ノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ薬などが選択さ
れるが,近年β遮断薬とSSRIの同時投与で死亡率上昇の報告がなされており565),抗うつ薬を使用しても心不全の予後は必ずしも改善しないと報告され
ている566-568).三環系抗うつ薬は,QT延長や抗コリン作用などに注意が必要である.不安に対してはベンゾジアゼピン系抗不安薬が第一選択となる.
心臓リハビリテーションや専門家によるカウンセリングなどの非薬物療法も有用である569, 570).
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)