PDEIII阻害薬の長所としては,1)カテコラミン抵抗状態にも有効,2)血管拡張作用と強心作用を併せ持ち,心筋酸素消費量の増加がカテコラミン薬に比
し軽度,3)硝酸薬に比し耐性が生じにくいことがあげられる.急性心不全では静注投与開始後作用発現がすみやかであり,血行動態改善効果はほぼ用
量依存性である481).
β遮断薬が投与されている慢性心不全の急性増悪では,β受容体を介さないPDE阻害薬やアデニル酸シクラーゼ賦活薬は,優れた心拍出量増加と肺毛
細管圧低下作用を発揮する482).
カテコラミン強心薬と同様に,病態に応じた適応,投与量,投与期間に十分注意を払い,必要最少量を最短期間で使用する.一般的には血圧低下や不
整脈の出現に注意しながら持続静注にて開始する.
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)