CS 1に相当する病態である.起座呼吸を示し,経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)が90%未満であることが多い.非侵襲的陽圧換気(noninvasive
positive pressure ventilation;NPPV)が症状軽減と動脈血の酸素化,血行動態の改善に効果的である(表53).静脈ルートを確保する前にNPPVや硝酸
薬舌下またはスプレーを使用し,迅速に呼吸困難および酸素化の改善を図る.それでも肺水腫の改善が不十分である場合は,急激な血圧低下に注意し
て血管拡張薬の持続静注を行う.利尿薬は体液貯留のある患者に限って投与する.CS 1のなかでも約半数がLVEF低下例であり460),治療経過中に低
心拍出に陥るリスクがあることは周知しておく必要がある.
3.3.1急性心原性肺水腫
推奨クラス エビデンスレベル
Minds推奨グレード Mindsエビデンス分類
肺水腫あるいはCOPDを合併する患者における静脈血pH,CO2,乳酸の
測定.心原性ショック患者では動脈血での計測
Ⅱa C B IVb
SpO2 <90%またはPaO2<60 mmHgの患者に対する低酸素補正のための
酸素投与
I C B VI
呼吸不全患者(呼吸数>25回/ 分,SpO2 < 90%)に対するすみやかな陽圧
呼吸(NPPV)の導入による呼吸苦の改善と気管挿管の回避
I A A I
呼吸不全患者に対する上記
の治療下でも
・低酸素
( PaO2<60 mmHg)
・CO2貯留
( PaCO2>50 mmHg)
・呼吸性アシドーシス
( pH<7.35)
の改善が得られない場合の
気管挿管
I C B VI
表53 急性心不全患者に対する酸素投与,呼吸管理の
    推奨とエビデンスレベル
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)
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