拡張型心筋症,虚血性心筋症などにおいて,僧帽弁のtethering,僧帽弁輪の拡大などによる二次性僧帽弁閉鎖不全は,さらなる血行動態の悪化に結
びつく.しかし,中等度から高度の二次性僧帽弁閉鎖不全を有する患者において,僧帽弁閉鎖不全に対する直接的な介入により予後が改善するか否か
については,コンセンサスは得られていない.2016年には,Cardiothoracic Surgical Trials Networkによる介入研究において,中等度の二次性僧帽弁
閉鎖不全を有する虚血性心疾患患者に対し,CABGの際に僧帽弁に手術介入を加えても予後が改善しないことが報告された367).これを受けて2017年に
部分改訂されたACC/AHAの弁膜症の治療に関するガイドラインでは,中等度の二次性僧帽弁閉鎖不全を有する虚血性心疾患患者に対してCABGの際
に僧帽弁に手術介入を行う有用性は定かではないと記載している368).
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)