心臓突然死は,心不全の増悪による死亡とならんで心不全の二大死因であり,その基礎となっているのは心室頻拍および心室細動などの重症心
室不整脈である.アミオダロンはこれらの重症心室不整脈を抑え,心不全患者の突然死を予防することが期待される.各種の臨床試験では必ずしも
一貫した結果が得られていないが280, 281),過去の臨床試験のメタ解析では,全死亡率および不整脈死を減少させることが報告されている282).
ただし,植込み型除細動器(implantable cardioverter defibrillator; ICD)との比較を行った大規模試験SCD-HeFTでは,プラセボと比較して有効性が
なかった283).使用に際しては,特異的な副作用(甲状腺機能障害,間質性肺炎,角膜色素沈着,肝機能値の異常)の早期検出のため,定期的な甲
状腺機能および肺機能評価,胸部X線撮影,血中KL-6測定,眼科受診などが必要である.一方,アミオダロンは心不全に合併する心房細動に対して
も保険が適用され,洞調律維持や心拍数コントロール目的で使用される.
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)