CRTの植込みを行っても,その3~4割の患者が,CRTの効果が十分でない,いわゆる“ノンレスポンダー”となることが判明している.QRS波形に関す
るメタ解析では,左脚ブロック波形の患者でのみ,CRTの有用性が示されている393).一方,QRS幅については,CRTの効果を検討したメタ解析394)や
DESIRE 395)で,QRS幅が比較的狭い症例でも心エコー法でdyssynchronyが検出された心不全例では,CRTによりQOLやLVEFの改善が得られた.
一方,NYHA心機能分類III度,LVEF≦35%,QRS幅が130ミリ秒未満で,心エコー法にてdyssynchronyを認めた心不全例を対象としたRethinQ 396)
では,CRTは効果がなかった.さらにEchoCRT 397)では,QRS幅が130ミリ秒未満の患者では,総死亡もしくは心不全入院についてはCRT-on群と
CRT-off 群で有意な差はなかった.以上から,QRS幅が比較的狭い患者(<130ミリ秒)でのCRTの効果は少ないと考えられる14, 346).
2.2.3 QRS 波形およびQRS 幅によるCRT の効果
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)