CRTの効果に関する臨床研究のほとんどは洞調律例を対象として実施された.心房細動例におけるCRTの効果はいまだ十分に検討されていな
い.MUSTIC-AF試験375)では,慢性徐脈性心房細動に対してペーシング適応のある例において右室VVI ペーシングとCRTの効果が比較され,
運動耐容能を含めQOLや入院頻度に関してCRTがまさっていた.一方,心房細動のレートコントロール後の心室ペーシング率も重要であり,
HRS/EHRA/APHRS/SOLAECEのエキスパートコンセンサス392)では,両室ペーシング率は98%以上が推奨されている.慢性心房細動例にCRTを適
用する場合,ペーシング率を十分に確保できない場合は房室接合部アブレーションも考慮される.欧州のガイドラインでは,慢性心房細動例で,
房室接合部アブレーションの適応となる場合をCRTのClass IIaとしている14)
2.2.2 心房細動への対応
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)
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