ICDは,高度左室機能低下例(LVEF<30~35%)の生命予後を改善する283, 350, 351, 388).CARE-HF試験をさらに8ヵ月間延長し,観察した検討で
は,CRTにより突然死が46%減少した389).一方,CRT臨床試験のメタ解析の結果では,ペーシング機能のみの両心室ペースメーカ(CRT-P)
には心臓突然死の予防効果はなかった390).CRT-Pと両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)の効果を比較検討した研究はないが,
COMPANIONでの心臓突然死(/100人・年)についてみると,CRT-P群の5.9に対してCRT-D群は2.2であった.欧州4施設の前向き登録研究391)
では,CRT-DがCRT-Pに比して死亡率を20%(P=0.284),心臓突然死を96%(P<0.002)減少させた.以上から,多くの症例ではCRT-Dが推奨され
るが,CRT-DはCRT-Pに比して高額であり,費用対効果も考慮しなければならない.欧州のガイドラインでは, CRT-Dの適応となるのは良好な身体機
能が1年以上期待できる場合とされている14).
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)