メタボリックシンドロームは,虚血性心疾患の危険因子であり心不全のリスクでもある.メタボリックシンドローム関連アディポサイトカインの1つである
アディポネクチン濃度は心不全で上昇し,予後と関連すると報告されている104-106)

 ETは血管内皮細胞培養上清中から発見された,強力かつ持続的な血管平滑筋収縮性ペプチドである107).構造と薬理活性の異なる3種類のアイソ
ペプチドのうち,ET-1は心不全の重症度が増すにつれて高値を示す.とくにNYHA心機能分類IV度で上昇する.血漿ET-1,big-ET-1濃度はLVEFとは
逆相関して,死亡率の規定因子の1つである108, 109)

 アドレノメデュリンは,心不全の重症度が増すにつれて血中濃度が増加し,心不全の予後不良と関係する110).IL-1,TNF-αなどのサイトカインにより
分泌を刺激され,心臓のみならず全身の血管床から産生され,オートクリン,パラクリンに細胞保護的に働いている.心不全の病態生理の解明には重
要なホルモンである.
3.9その他
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急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)