β遮断薬は心不全治療薬としてその有効性が確立されている.カルベジロールの有効性を検証したCOPERNICUS 617)とCAPRICORN 204)を用いた
腎機能低下症例のメタ解析では,eGFRが45~60 mL/分/1.73m2のCKDステージ3の症例で有意に予後を改善した618).ビソプロロールの有効性を検
証したCIBIS IIのサブ解析では,eGFR 45mL/分/1.73m2未満の症例,eGFR 45~60 mL/分/1.73m2 の症例でともにビソプロロールの予後改善効果
を認めた619).透析症例でのβ遮断薬の有効性を調べたコホート研究では,β遮断薬の内服が生命予後を有意に改善した620).カルベジロールは脂溶性
で肝代謝であるの対して,ビソプロロールは脂溶性・水溶性を併せもち,腎排泄も関わるため,重度の腎機能低下症例では用量を調節する必要があ
る.
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)