ジゴキシンは強心薬としては他のカテコラミン類似薬に比して劣るが,急性効果を検討した非対照試験では血行動態改善に有用であった749).
さらに長期予後に関するDIG試験を考慮に入れると288),血中濃度に注意すれば,生命予後改善効果は見込めないものの再入院率は減少する.
急性心不全では心房細動など頻脈誘発性心不全に対して適応とされる.急性心筋梗塞や心筋炎による急性心不全への投与は推奨できない.
心房細動などにおける心拍数コントロールを目的に,0.125~0.25 mgを緩徐に静注し,中毒に注意しながら適宜使用する方法が一般的であり,
急速静注飽和療法は現在では用いられることが少ない.
ジギタリス投与の禁忌例として,徐脈,第2~3度房室ブロック,洞不全症候群,WPW症候群,閉塞性肥大型心筋症,低カリウム血症,高カルシウム血
症があげられる.
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)