心不全とそのリスク 心不全の進展イベント 心不全ステージ分類 7)
心不全リスク (突然死) 器質的心疾患発症 ステージ A 器質的心疾患のないリスクステージ
急性心不全
慢性心不全
時間経過
ステージ B
器質的心疾患のあるリスクステージ
ステージ C
心不全ステージ
ステージ D
治療抵抗性 心不全ステージ
心不全症候出現
心不全治療抵抗性
症候性心不全
身体機能
高血圧 糖尿病 動脈硬化性疾患 など
虚血性心疾患 左室リモデリング(左室肥大・駆出率低下)
無症候性弁膜症 など
治療目標
・危険因子あり ・器質的心疾患なし ・心不全症候なし
・器質的心疾患あり ・心不全症候なし
・危険因子のコントロール ・器質的心疾患の発症予防
・器質的心疾患の進展予防 ・心不全の発症予防
・症状コントロール ・QOL改善 ・入院予防・死亡回避
・緩和ケア ・再入院予防 ・終末期ケア ・器質的心疾患あり
・心不全症候あり(既往も含む)
・治療抵抗性( 難治性・末期)心不全
慢性心不全の急性増悪 (急性心不全)反復
心不全発症心不全の難治化
心不全ステージ分類NYHA 心機能分類
A 器質的心疾患のないリスクステージ
該当なし
B 器質的心疾患のあるリスクステージ
該当なし
C 心不全ステージ
I 心疾患はあるが身体活動に制限はない.
日常的な身体活動では著しい疲労,動悸,
呼吸困難あるいは狭心痛を生じない.
II 軽度ないし中等度の身体活動の制限があ
る.安静時には無症状.
日常的な身体活動で疲労,動悸,呼吸困
難あるいは狭心痛を生じる.
III 高度な身体活動の制限がある.安静時に
は無症状.
日常的な身体活動以下の労作で疲労,動
悸,呼吸困難あるいは狭心痛を生じる.
IV 心疾患のためいかなる身体活動も制限さ
れる.
心不全症状や狭心痛が安静時にも存在す
る.わずかな労作でこれらの症状は増悪
する.
D 治療抵抗性
心不全ステージ
III 高度な身体活動の制限がある.安静時に
は無症状.
日常的な身体活動以下の労作で疲労,動
悸,呼吸困難あるいは狭心痛を生じる.
IV 心疾患のためいかなる身体活動も制限さ
れる.
心不全症状や狭心痛が安静時にも存在す
る.わずかな労作でこれらの症状は増悪
する.
1.2 心不全の進展ステージ
 現在,心不全の病期の進行についてはACCF/AHAの心不全ステージ分類7)が用いられることが多い.このステージ分類は適切な治療介入を行うこと
を目的にされており,無症候であっても高リスク群であれば早期に治療介入することが推奨されている.本ガイドラインでは,同分類と同様に,リスク因子
をもつが器質的心疾患がなく,心不全症候のない患者を「ステージA 器質的心疾患のないリスクステージ」,器質的心疾患を有するが,心不全症候のな
い患者を「ステージB 器質的心疾患のあるリスクステージ」,器質的心疾患を有し,心不全症候を有する患者を既往も含め「ステージC 心不全ステー
ジ」と定義する.さらに,おおむね年間2回以上の心不全入院を繰り返し,有効性が確立しているすべての薬物治療・非薬物治療について治療ないしは治
療が考慮されたにもかかわらずニューヨーク心臓協会(New York Heart Association; NYHA)心機能分類III度より改善しない患者は「ステージD 治療
抵抗性心不全ステージ」と定義される(図1)20)

 不全ステージ分類とNYHA心機能分類の対比の目安も示されている(表8)7)
図1 心不全とそのリスクの進展ステージ
(厚生労働省.2017 20)より改変)
表8 心不全ステージ分類とNYHA 心機能分類の対比
NYHA心機能分類とはニューヨーク心臓協会(New York Heart
Association)が作成し,身体活動による自覚症状の程度により心疾
患の重症度を分類したもので,心不全における重症度分類として広く
用いられている.II度はさらにIIs度:身体活動に軽度制限のある場合,
IIm度:身体活動に中等度制限のある場合に分類される.
(Yancy CW, et al. 2013 7)より改変)
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)
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