推奨クラス エビデンスレベル
Minds推奨グレード Mindsエビデンス分類
心室不整脈誘因の除去
精神的・肉体的ストレスや苦痛の軽減,電解質補正,
心筋虚血の改善
I A C1 VI
電気的除細動
心室細動,血行動態が破綻する持続性心室頻拍
I C C1 VI
ニフェカラント・アミオダロンの静脈内投与
心室頻拍・心室細動の再発
予防目的
Ⅱa C B IVb
経口アミオダロン
ICD植込み後の心不全患者の致死性不整脈発症予防に
よるICD作動の回避目的
Ⅱa B B I
カテーテルアブレーション
ICD植込み後の心不全患者の頻回の致死性不整脈発症
に伴うICD作動の回避目的
Ⅱb C B IVa
経口抗不整脈薬
低心機能症例における無症候性心室不整脈
Ⅲ A D II
 心不全に合併する心室不整脈のなかでも,血行動態の破綻する持続性心室頻拍および心室細動にはすみやかに電気的除細動を施行する.抗不
整脈薬としては,アミオダロン・ニフェカラントの静脈投与は即効性があり,高い予防効果が期待できる340, 341).電解質補正や,催不整脈作用を有す
る薬剤の中止など,致死性心室不整脈の誘因や助長因子を同定し,治療する.心筋虚血が不整脈発生に関与している場合には,血行再建による虚
血の解除も重要となる.QT延長に伴う多形性心室頻拍342),torsade de pointes時には低カリウム血症,低マグネシウム血症などの電解質補正とと
もに,硫酸マグネシウムの点滴静注が有効である343)

 植込み型除細動器(ICD)の作動を契機に,疼痛や精神的不安感により頻回のICD作動につながることもある.24時間以内に3回以上の致死性心室
不整脈を認める状態を「電気的ストーム(“electrical storm” )」と呼び,除細動抵抗性の場合には経皮的心肺補助装置(percutaneous
cardiopulmonary support; PCPS)を装着し,循環動態を維持しつつ不整脈に対する対応を行う.薬物治療によっても致死性心室不整脈をコントロー
ルできない場合には,カテーテルアブレーションによる治療も考慮される344, 345).慢性心不全患者に発症する致死性心室不整脈の再発・突然死予防
には,経口β遮断薬が有用である192-194).β遮断薬に加え経口アミオダロンも治療選択肢にあげられるが346),副作用の懸念もあり,注意深い経過観
察が必要である.心不全患者の突然死予防はICDによる非薬物治療が主体となり234),抗不整脈薬は不整脈発作頻度を減少させる補助的な目的で
用いられる.
2.心室不整脈
(表34)
 
 
表34 心不全患者に併発する心室不整脈に対する治療の
    推奨とエビデンスレベル
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)
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