1 個人情報の管理と保護の基本事項
Ⅰ 総論 > 4 個人情報の管理と保護 > 1 個人情報の管理と保護の基本事項
 本ガイドラインの適用範囲は診療の一環として行う遺伝学的検査であり,日本医学会「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」9)に従って実施する
べきである.一方,研究目的の遺伝学的検査は本ガイドラインの対象ではない.しかし,実際には研究目的の遺伝学的検査と厳密に区別することは困難な場合も想
定される.また,当初は純粋な診療目的で行われた検査でも,その結果が判明した後に研究を行う必要が生じることもある.研究目的の遺伝学的検査の要素を含む
場合は,本ガイドラインではなく,三省指針「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」5)に従うべきである.

 すでに発症している患者の診断を目的として行われる遺伝学的検査は,被検者の利益のために行われるため,個人情報の管理と保護を可能な限り行う必要がある
ものの,匿名化等の処置は必ずしも必要ない.またその結果は,原則として,他の臨床検査の結果と同様に,患者の診療に関係する医療者が共有する情報として診
療録に記載する必要がある.一方,研究目的で行われる遺伝学的検査の場合,基本的には被検者の利益が得られるわけではないため,被検者の不利益が生じない
ように個人情報の管理と保護を厳重に行う必要がある.試料の匿名化や検査結果をスタンドアローンのコンピュータに格納すること等の処置が求められる.

 また,遺伝学的検査を行う際の個人情報保護に関しては,民間企業,行政機関,独立行政法人等の区分に応じて適用される個人情報の保護に関する法律,行政
機関の保有する個人情報の保護に関する法律(2003年法律第58号),独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(2003年法律第59号)および個人情
報の保護に関する法律第11条第1 項の趣旨をふまえる必要がある.
心臓血管疾患における遺伝学的検査と遺伝カウンセリングに関する
ガイドライン(2011年改訂版)

Guidelines for Genetic Test and Genetic Councelling in Cardiovascular Disease(JCS 2011)
 
次へ