2 保護すべき個人情報
Ⅰ 総論 > 4 個人情報の管理と保護 > 2 保護すべき個人情報
 「個人情報」とは,生存する個人に関する情報であり,氏名,生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することがで
き,それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)をいう.

 遺伝情報が通常の個人情報と比較して特殊な点は,生涯変化しないこと,将来の発症を予測し得る場合があること,非発症保因者(発症しないが遺伝子変異をも
ち,次世代に伝える可能性のある者)の診断ができる場合があること,血縁者にも影響し得ること,その個人が属する集団全体にも影響し得ること,試料の採取当時は
わからない重要な情報が将来明らかになる可能性があること等である.

 したがって,遺伝情報が個人情報と連結可能な場合,その情報が漏れることにより被検者,および家族が不利益を受ける可能性がある.そのため,遺伝学的検査に
より得られた遺伝情報を含む個人情報は,本人と担当者の他には(担当以外の医療従事者,本人の肉親,学校,雇用主,保険会社等)漏洩しないように厳重に管理
する必要がある.そのためには,漏洩のあらゆる可能性を検討して,安全対策を講じなければならない.例えば,情報を記載した書類は鍵のかかる部屋あるいはロッ
カーに保管する,あるいは情報を格納したコンピュータへのアクセスはパスワード,指紋認証といった手段で制限すること等が考えられる.
心臓血管疾患における遺伝学的検査と遺伝カウンセリングに関する
ガイドライン(2011年改訂版)

Guidelines for Genetic Test and Genetic Councelling in Cardiovascular Disease(JCS 2011)
 
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