遺伝子変異等により発生することが明らかとなっている先天性心臓血管疾患については,遺伝学的検査等の検査が可能な場合,出生前診断が可能である.
ただし,出生前検査・診断を行う前に,当該の心臓血管疾患の重篤性を十分に勘案して検討することが重要であり,検査前遺伝カウンセリングを行うことが特に重要
である.
また,当該疾患罹患児はもとより,同胞,両親,血縁者等に対しても遺伝学的検査等を実施する必要性のある場合,それらに関する情報も十分提示の上,遺伝学的
検査,出生前診断の情報提供をしなくてはならない.本人や血縁者に及ぼす影響に関してもカウンセリングを行い,遺伝情報を「知らないでいる権利」があることにつ
いても十分な情報提供を行う必要がある.
上記の遺伝カウンセリングを経て,出生前診断を行うことが決定した場合には,日本医学会「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドラインに関するガイド
ライン」9)(表1)および日本産科婦人科学会「出生前に行われる検査および診断に関する見解」改定案(2011年2 月)に記載された基準に従う.
なお,着床前診断に関しては,各施設における倫理委員会で個々に審議した後,日本産科婦人科学会に申請の上,さらなる倫理審議を受けたのち実施可能とす
る.