2  遺伝学的検査の内容
Ⅰ 総論 > 1 日本循環器学会による「心臓血管疾患における遺伝学的検査と遺伝カウンセリングに関するガイドライン」の基本理念 > 2  遺伝学的検査の内容
 遺伝学的検査とは染色体検査,遺伝生化学的検査,遺伝子検査をいうが4),ここでは特定の心臓血管疾患における染色体検査,遺伝生化学的検査,遺伝子検査
に加え,確定診断のための検査,保因者検査,発症前検査,易罹患性検査,薬理遺伝学検査,出生前検査等も対象とする.遺伝学的検査の実施にあたっては,遺
伝カウンセリングとインフォームド・コンセントの取得は必須である.

 被検者(検査を受ける人)に対しては,遺伝学的検査は一般臨床検査と異なり,いくつかの特性をもつことを説明しなければならない.それらは,例えば(1)検査結
果は生涯変わらないこと(不変性),(2)個人の遺伝情報であると同時に血縁者もそれを共有していること(共有性),(3)将来発症する遺伝疾患を予測できる場合が
あるが(予見性),発症時期や症状等については正確には予測できないこと,また変異遺伝子がみつかっても発症しない場合もあること(不確実性),(4)保険,雇用
等において患者やその家族が不利益をこうむる等社会的リスクがあること(危害性),等である.

 その上で,医療者側は遺伝情報をどのように医療に役立てるか,また得られた遺伝情報をどのように管理するか等についての具体的な対応について伝えるべきで
ある.
心臓血管疾患における遺伝学的検査と遺伝カウンセリングに関する
ガイドライン(2011年改訂版)

Guidelines for Genetic Test and Genetic Councelling in Cardiovascular Disease(JCS 2011)
 
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