特定の心臓血管疾患における遺伝学的検査の実施にあたっては,被検者の人権尊重(自己決定権,拒否権,差別を受けない権利,知る権利,知らないでいる権
利)が科学的・社会的利益よりも優先されなければならない.さらには,患者の不利益(リスク)を最小限にとどめ,患者の利益を最大限に尊重することを基本姿勢とす
るべきである(仁恵,危害防止).したがって,遺伝情報は基本的には遺伝学的検査を受けた本人の医療目的に限って利用されなければならず,また,本人,およびそ
の血縁者が検査を受けたことで遺伝差別等の不利益をこうむることのないように,慎重に配慮されなければならない.