PCPS装着後,肺うっ血が改善しない場合や出血などの合併症で継続困難と考えられる場合,心機能の回復が十分でなく,さらに補助循環を継続する
場合,選択肢として体外循環用の遠心ポンプを使用したVA-ECMOもしくは左心バイパスがある.開胸下に,VA-ECMOであれば右房に脱血カニューレを
装着,左心バイパスであれば左室心尖部に脱血カニューレを装着し,いずれも上行大動脈に送血を確立するものである.左心バイパスは,システム的には
体外設置型VADと同様であり,とくに肺うっ血の改善に優れる.心原性ショックの症例では右心不全や肺疾患を合併することも多く,左心バイパスでは十
分な脱血が困難なこともある.そのような症例では,VA-ECMOのほうが十分な流量確保が期待できることもある.もしくは,左心バイパスに加えて右房
(ときに右室)脱血・肺動脈送血による右心バイパスを追加することも有効である.

 いずれも元来,開心術中の体外循環を想定したものであり,現在VADとしては保険適用されていない.そのため,2週間以上の補助循環を必要とする場
合には後述の認可されたVADにスイッチされることが多い.重症心不全におけるこの体外循環用遠心ポンプの使用成績やエビデンスは得られていない.
2.3.1 体外循環用遠心ポンプ
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)
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