抑うつや不安の合併は心不全患者の予後の悪化と関連している866, 867).また,抑うつは治療に対するアドヒアランスの低下,社会的孤立の誘因とな
る.抑うつ,不安などの精神症状は,病態や身体症状の変化,日常生活上の出来事に影響を受けるため,一時点の評価で判断せず,継続的に評価する
必要がある.さらに,精神症状の介入の基本となるのは,患者との適切な関係性の構築(ラポールの形成)と患者を個として尊重した細やかなコミュニ
ケーション,受容的な関わりの積み重ねである.そのうえで心不全における精神症状に関する情報提供,精神症状を引き起こす原因の同定,ストレスへ
の対処方略の検討,感情コントロールなどのセルフマネジメント能力を高める関わりが必要である868).さらに,抑うつなどの精神症状の重症度によって
は,精神科医あるいは心療内科医による診断と専門的治療,および臨床心理士によるカウンセリングも考慮すべきである869, 870)
1.2.13 精神症状
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)
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