さまざまな大規模臨床試験において,HFrEFの定義としてLVEFが35%以下,もしくは40%未満の患者を選択基準としている.そのため,諸外国の
ガイドラインではHFrEFの基準として同様の基準を採用しているものが多い17).本ガイドラインではHFrEFを,LVEF 40%未満と定義することとする.
HFrEFの特徴は,半数以上の症例で左室拡大が認められること,ならびに比較的多くの症例で拡張障害も伴うことである.HFrEFの主要な原因とし
て冠動脈疾患があげられるが,わが国においては増加傾向にあるとはいえ,その比率は諸外国に比較すると依然として低く,拡張型心筋症など心筋
疾患の関与を考えることも重要である.
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)