MitraClip ® の先端部
MitraClip ® で僧帽弁前尖と後尖を挟んでいるところ
治療手技終了後の僧帽弁を左房側から見た図
 器質的あるいは二次性僧帽弁閉鎖不全を有する心不全患者のなかで,僧帽弁閉鎖不全に対する治療介入が自覚症状の軽減,QOL改善をもたらすと
期待されるものの手術リスクが高い患者において,経皮的僧帽弁形成術を考慮する.わが国では,経カテーテル的に心房中隔を経由して僧帽弁にデバ
イスを進め,僧帽弁前尖と後尖をクリッピングするMitraClip®を用いることが可能となった(図18)

 欧米,アジアの一部の国を含め海外ではすでにMitraClip®は広く用いられており,心不全症状の軽減効果,治療手技の安全性,長期成績について報
告されている929- 931).施術後早期の離床が可能であり,施術後30日時点での患者の自覚症状の改善度は開心術にくらべ優れているが,
長期効果や臨床イベントという観点に立つと,手術を含め既存の治療法にまさるというデータは今のところない.とくに二次性僧帽弁閉鎖不全患者におい
ては,十分な薬物療法を行ったうえに本治療を加える意義に関するエビデンスがなく,前向き介入研究が現在進行中である.
5.経皮的僧帽弁接合不全修復システム( MitraClip®)
図18 MitraClip® による僧帽弁閉鎖不全の修復
(アボット バスキュラー ジャパン(株)より提供)
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)
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