急性期の臨床現場においては,病態に応じて左室機能や左室充満圧指標など,優先すべき項目から評価を行う.この際,目視によるLVEFも有用
である.しかし,とくに収縮能が保たれている患者においては目視によるLVEFは過小評価する傾向にある.

 心膜液貯留を診たときは心タンポナーデを疑う.心膜液貯留に加えて一過性の心室壁肥厚とびまん性壁運動低下,併せて血液生化学検査上の炎
症所見と心筋構成蛋白の血中上昇があれば心筋炎を疑う.

 肺水腫の診断において肺エコーの有用性が報告されており,左右の胸部あわせて8ヵ所におけるB-lineの評価を行うことにより,感度94%,特異度
92%で,急性心不全と他の原因による呼吸困難とを鑑別できたとされている125)
5.5急性心不全において評価すべき項目
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急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)