心不全の発症に免疫細胞,およびそれらが産生するサイトカインの関与が指摘されている.実際,心不全患者において腫瘍壊死因子(tumor
necrosis factor; TNF)-α,IL-6が血中に増加し,予後とも関係する91- 93).これらのサイトカインは直接的な陰性変力作用,β受容体に対する反応抑
制,一酸化窒素の産生を介する心筋細胞障害によって心機能を抑制する.さらに筋肉の疲弊による心臓悪液質や血管の透過性亢進,末梢血管抵
抗増大,心不全患者の運動耐容能低下にも関与する.また,高感度C反応性蛋白(C-reactive protein; CRP)濃度測定が基礎疾患の有無に
かかわらず予後と関連しているとの報告がある94).欧米ではST2(IL-1ファミリーに属するIL-33 の受容体)の迅速キットが用いられており,その血中
濃度が急性心不全患者において上昇することが報告されていることから,心不全の予後予測指標として期待されている95)
3.5炎症性マーカー
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)
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