MRAは,心不全例においてその有用性がRALES 247)やEPHESUS-HF 208)で報告されたが,RALESでは血清クレアチニン値2.5 mg/dL以上の症
例が,EPHESUS-HFではeGFR 30 mL/分/1.73m2未満の症例が除外されており,CKDステージ4~5相当に関するエビデンスはほぼない.
そのなかにおいて,RALESの48%,EPHESUS-HFの33%がCKDステージ3のeGFR 60 mL/分/1.73m2未満の症例であり,それらの群において
はeGFR 60 mL/分/1.73m2以上の症例と同様に予後を改善することが示されている623, 624).CKDステージ3 の症例において経時的にCKDステージ
4~5に腎機能が低下してきた場合には,慎重なモニタリングによりMRAの減量・休薬も考慮すべきである.なお,エプレレノンは添付文章上,
クレアチニンクリアランス 30mL/分未満の患者に対しては禁忌となっている.また,ACE阻害薬やARB併用症例では,とくに高カリウム血症や腎機能
の悪化をきたしやすく注意を要する.
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)