推奨クラスエビデンスレベルMinds
推奨
グレード
Minds
エビデンス
分類
適切な血圧管理I B B II
基礎疾患の探索と治療
 高血圧合併の有無にかかわらず,LVEFの保たれた心不全(HFpEF)に対する治療戦略には十分なエビデンスが得られていない.一般にHFpEFの
病因は,心血管系(心房細動,高血圧,冠動脈疾患,肺高血圧など)と非心血管系(糖尿病,CKD,貧血,COPDなど)のいずれにも由来することか
ら,それら基礎疾患の探索を行い,それぞれの病因に対する適切な治療介入を行う575, 576)

 高血圧はHFpEFの主要な基礎疾患の1つであるため577),血圧管理が必須と考えられるが,個別に推奨される降圧薬や目標血圧値に関しては十分
なエビデンスが得られていないため,個別の症例に応じた適切な血圧管理を実施する.

 心不全患者を対象とした臨床試験では,CHARMPreserved(カンデサルタン)312)とTOPCAT(スピロノラクトン)315)において,心不全入院が有意に減
少したものの,死亡率の低下は認められなかった.利尿薬は心不全に伴う症状/兆候の改善に有効性が認められている578).また,わが国で行われた
J-DHF(カルベジロール)314)において,全体ではカルベジロールに有効性は認められなかったものの,低用量群(平均2.9 mg/日)とくらべて通常用量群
(平均14.6 mg/日)で心血管死と心血管疾患による入院が有意に抑制された.さらに,大規模なレジストリーに基づく解析では,ACE阻害薬/ARB 317)
とβ遮断薬 319)は死亡率の抑制効果があることも示された.また,PARAMOUNT(LCZ696)579)において,バルサルタン群とくらべて,LCZ696群では12
週後のNT-proBNPの低下と血圧の低下が認められており,さらなる知見の集積が期待される.
6.2.2高血圧を合併したHFpEF
(表39)
表39 高血圧を合併したHFpEF に対する治療の推奨とエビデンスレベル
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)
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