心不全とは,状態名であって,疾患名ではない.結果として心不全をきたす原因疾患があり,また,心不全に影響を与える修飾要因が存在する.
したがって,心不全を管理する際には,常に大きな2 つの柱を意識する.1 つは,心不全という状態への介入,そして,もう1つは心不全をもたらす原因
への介入である.この際,この二本柱への介入をどのように順序立て,互いの介入にどのような調整を加えるかが重要となる.

 心不全の症状や徴候が露見している際には,患者の愁訴やときに生命危機に直結するのは心不全という状態であり,原因はともあれ,まず心不全
という状態への介入を優先する.そのうえで心不全が軽減や安定に向かったら,次に原因疾患を同定し,必要な介入を加える.これが,一般的な管理
の順序である.
1.基本的な治療戦略
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)
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