推奨クラス エビデンスレベル
Minds推奨グレード Mindsエビデンス分類
多職種のメンバーより構成されるハートチームにより行われるTAVI
I C C1 VI
心臓血管外科を併設している施設でのみ実施されるTAVI
I C C1 VI
開心術不能かつ術後の予後が12ヵ月以上
期待できる大動脈弁狭窄症患者に対する
TAVI
I A A II
大動脈弁置換術の適応はあ
るが手術高リスクの患者に
おける代替治療としての
TAVI
Ⅱa A B II
大動脈弁狭窄症の治療によ
り術後のQOLや予後の改善
が期待できない患者に対す
るTAVI
Ⅲ A D II
LVEFの低下した大動脈弁狭
窄症に対するTAVI Ⅲ C C2 IVa
現時点における経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)または経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)の適応疾患は高度大動脈弁狭窄( AS) で,
その手術適応や手術時期については大動脈弁置換術に準じており(表66),詳細については最近の各ガイドラインを参照されたい370, 371, 496).
TAVIは,ハートチームにより手術不適と判断され,術後の生命予後が1年より長く期待される重症AS患者において推奨される497 - 500).また,手術が適
応可能であっても,個々のリスクや解剖学的条件から,‘ ハートチーム’によってTAVIのほうが好ましいと判断された高リスク症例でもTAVIを検討すべきで
ある499- 502).一方で,治療により症状やQOLの改善が期待できない患者は適応から外れる497, 500 - 503).
左室機能低下の高度AS症例では,low-flow,lowgradientの病態( 弁口面積<1 cm2,LVEF<40%,平均圧較差<40 mmHg) に注意が必要で,
その鑑別にはドブタミン負荷エコーが有用である504, 505).後負荷増大が原因と限定できない左室機能低下例では,左室機能および症状の完全な改善は
期待できないが,生命予後は改善する506).低心機能症例に対するTAVIの成績に関しては,良好な術後早期成績を示す報告がある一方で507, 508),
低心機能自体が術後の予後不良因子であるとする報告もあり509, 510),その有効性に関しては一定の見解が得られていないのが現状である.心機能低下
例へのTAVIの適応については慎重な姿勢でのぞむ必要がある.
表66 大動脈弁狭窄症に対するTAVI の推奨とエビデンスレベル
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)