和温療法はわが国独自の治療法で596),乾式遠赤外線サウナ装置により60℃の均等乾式サウナ浴を15分間施行後,出浴後30分間の安静保温を行うも
のである.
和温療法の心不全に対する効果として,血行動態の改善597),左心機能の改善598-601),心不全症状の改善598, 600, 602),QOLおよび運動耐容能の改善
600),末梢血管内皮機能の改善600, 602),心拍変動の改善603, 604)などが報告されている.さらに心不全患者の死亡や心不全による再入院を有意に減らし,
予後を改善するという後ろ向き研究の報告もある605).多施設共同ランダム化比較試験WAON-CHF 606)では,19施設から149人が組み入れられ,和温療
法群(1日1回,10日間)でBNP,NYHA心機能分類,6分間歩行距離,心胸比の改善がみられ,安全性にも問題がないことが明らかになったが,一次エン
ドポイントであるBNPの変化については対照群と比較して有意差が示されなかった.
現在,和温療法に関してはわが国での心不全に対する保険適用はまだ認められていない状況にある.
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)