患者の適切なセルフケアは心不全増悪の予防に重要な役割を果たし,セルフケア能力を向上させることにより生命予後やQOLの改善が期待できる525-
527).医療従事者は患者のセルフケアが適切に行われているかを評価し,患者および家族に対する教育,相談支援により患者のセルフケアの向上に努め
る528, 529).患者教育では,疾患に関する情報にアクセスし,理解し,活用する能力であるヘルスリテラシーを考慮しつつ530),患者の理解度に応じた教材を
有効に活用することも重要である531).高齢者,独居者,認知機能障害の合併患者など,セルフケア能力に限界がある患者に対しては,家族への教育,
支援とともに,訪問診療,訪問看護・介護など,社会資源の積極的活用が求められる.
1.2.1 アドヒアランスとセルフケアを重視した患者教育
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)