4 結果情報の告知
Ⅰ 総論 > 4 個人情報の管理と保護 > 4 結果情報の告知
 遺伝学的検査の結果(結果情報)の告知は,原則として被検者本人,または被験者本人から承諾を得た医療従事者に対して行われなければならない.

① 未成年者等,理解能力を認められない人への結果情報の告知

 未成年者の場合,16歳以上の場合には本人が理解できるように可能な限り説明し,本人に結果を告知する. 未成年者や認知症等により理解能力が十分でない場
合,本人の家族構成や置かれている状況等を勘案し,本人の意思や利益を代弁できる人を次のなかから選び,告知する.すなわち,任意後見人,親権者,後見人や
補佐人が定まっている場合はその人.本人の配偶者,成人の子,父母,成人の同胞もしくは孫,祖父母,同居の親族またはそれら近親者に準ずると考えられる人.

 ただし,診療の一環として行われる遺伝学的検査は,被検者本人の利益のために行うものであるので,本人が理解できないとしても,当該の遺伝学的検査が本人
に役立つ可能性がなければ検査をしてはならない.

 結果を本人以外の人に告知する場合でも,結果情報にアクセスする権利はあくまで本人にあることを告知する人に伝えなければならない.また,被検者が未成年者
であった場合,同意可能な年齢に達した時点で本人に情報告知すべきことを,代理で告知を受けた人に伝えなければならない.

②結果情報の所有権

 遺伝学検査の結果情報の所有権は本人にある.医療従事者である担当者も,代理で告知を受けた人も結果情報の所有権が本人にあることを常に自覚し,本人の
利益を守る立場にあることを忘れてはならない.

③個人情報へのアクセス権

 遺伝学的検査により得られた個人の遺伝情報は,被検者本人に属するものであり,この個人の遺伝情報へのアクセス権は原則として本人と,本人から承諾を得た
医療関係者のみが有する.

④遺伝学的検査から新知見が得られた場合

 当初は診療目的で行われた遺伝学的検査であっても,検査結果によっては研究を行う必要が生じる可能性もある.その場合は本ガイドラインではなく,三省指針「ヒ
トゲノム・遺伝子解析研究に関するガイドライン」5)に従うべきである.すなわち,倫理審査委員会による研究計画の承認,インフォームドコンセント,個人情報および解
析結果の厳重な管理と保護等が求められる.
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心臓血管疾患における遺伝学的検査と遺伝カウンセリングに関する
ガイドライン(2011年改訂版)

Guidelines for Genetic Test and Genetic Councelling in Cardiovascular Disease(JCS 2011)