これまでHFpEFに対する薬物療法として,死亡率や臨床イベント発生率の低下効果が前向き介入研究で明確に示されたものはない.したがって,
現段階では原疾患に対する基本的治療を基本とし,心不全症状を軽減させることを目的とした負荷軽減療法,心不全増悪に結びつく併存症に対する
治療を行うことが基本である.併存症に対する治療は,IX. 併存症の病態と治療(p. 54)を参照されたい.
2.LVEFの保たれた心不全(HFpEF)(表26)
表26 HFpEF における治療薬の推奨とエビデンスレベル
*トルバプタンの導入は入院中に限る.その長期投与の有効性・安全
性のデータはない.
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)