循環補助用心内留置型ポンプカテーテル(Impella®)は左心補助用の2.5,5.0,CP,右心補助用のRPなどが市販されているが,現在わが国で経皮的
VADとして承認されているのは2.5と5.0であり,それぞれ数字は最大補助流量(L/分)を表す.いずれも大腿動脈(海外では鎖骨下動脈からも挿入可能)か
ら逆行性に上行大動脈に至り,大動脈弁を通過させて左室内に先端を留置する.小型の軸流ポンプを内蔵しており,左室内から脱血し上行大動脈へ送血
することで左心バイパスを確立するため,肺うっ血の改善が期待できる.2.5は大腿動脈からシースによる挿入が可能であるが,5.0はカットダウンが必要で
ある.米国では高リスク冠動脈形成術施行時にも使用可能であるが,わが国においては心原性ショックに使用が限定されている.急性心筋梗塞による心
原性ショックに対するImpella 2.5®またはCP®をIABPとランダム化比較した2つの試験(ISAR-SHOCK試験820),IMPRESS in Severe Shock試験821))で
は,いずれも生命予後改善効果についてImpella®の優越性を示すことができなかった.
2.2.3 循環補助用心内留置型ポンプカテーテル(Impella®)
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)