ガドリニウム遅延造影が,心筋線維化に一致して認められる.遅延造影の分布様式は,虚血性または非虚血性心筋症の鑑別,心筋バイアビリティ
の評価に有用である126, 128).虚血性心疾患においては,冠動脈支配に一致して心内膜下から貫壁性に分布する遅延造影像が認められる.虚血性心
筋症以外の心筋疾患においても,特有の遅延造影の分布様式を示す場合があり,基礎心疾患の診断に有用な情報を得ることができる130).遅延造影
像は,心サルコイドーシスでは,心基部心室中隔や左室側壁に心外膜側または全層性に局在することが多く131),肥大型心筋症では,肥大した領域や
心室中隔と右室壁の接合部に多く132),心アミロイドーシスでは貫壁性または心内膜下に左室全周性に認められることが多い133).T1マッピングでは造
影剤を使用せず同様の評価が可能であるため,現在,利用が拡がりつつある134).T2強調画像では,浮腫に一致した信号を得ることができるため,急
性心筋梗塞,急性心筋炎,心サルコイドーシスに伴う炎症を評価することができる128)
6.1.2 心筋組織評価
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急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)