心不全とCOPDを併存した患者に対しても,ACE阻害薬,ARB,β 遮断薬,利尿薬が推奨される637, 639).ACE阻害薬は,肺動脈の血管拡張作用,
気管支拡張作用,肺胞でのガス交換改善作用を有する644).β遮断薬は,COPDを併存した心不全患者の大多数においても安全に使用できる251, 639,
642, 643, 645).COPD併存心不全患者におけるβ1選択性が高いビソプロロールとβ1非選択性カルベジロールの切り替え試験において,両者とも心不全の
増悪は認めなかったが,カルベジロールにおいて1秒率の低下を認めた646)

 導入時はβ1選択性が高いβ 遮断薬を少量からゆっくりと増量することが望ましい.コントロールされていない喘息合併COPDにおいては,β遮断薬の
使用は絶対的禁忌ではないが,注意が必要である647).COPDや気管支喘息に対する長時間作用型のβ2刺激薬投与下においても,β1選択性が高いβ
遮断薬は使用できる16, 636)
10.2.1 COPD 合併の心不全治療
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)
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