心不全の原因と合併疾患の診断と治療.
2. 心不全症候および心機能改善を目的とした加療(利尿薬あるい
は血管拡張薬など).
3. HFrEF患者に対しては,RAA系抑制薬とβ遮断薬を開始し,
目標用量に向けて増量.HFpEF患者に対しては,標準的薬物
療法は確立されておらず,高血圧などのリスクに関する加療を
強化.
4. 適応があればICD, CRT/CRT-Dなどのデバイス治療を考慮.
状態が安定し,CCU/ICUから一般病棟に転棟した患者には,引き続き原因疾患に対する治療を行う.心不全症状や徴候が軽快し,体液貯留が消失
し(euvolemia),解消されればガイドラインに準じた心不全治療薬の開始と到達目標への増量を試みる段階に進む.それとともに心臓リハビリテーショ
ンを早期から開始し,早期離床を目指す.急性期から慢性期にかけての院内治療目標は表57 のとおりである.いずれにおいても,心不全の悪化をき
たさないように管理をすることと,心不全悪化をきたしてしまった際に早期に発見できるように患者教育および患者環境を整えることが重要である.
退院時には,心不全症候である起座呼吸,頚静脈怒張,肺野coarse crackle,末梢浮腫,倦怠感の改善度を的確に評価する.残存する心不全症候が
多いほど,あるいはその程度が強いほど予後不良である717).
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Guidelines for Diagnosis and Treatment of Acute and Chronic Heart Failure
(JCS 2017/JHFS 2017)